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メールアドレス: noren_mkt@ashisuto.co.jp
2011年5月23日開催
2011年5月23日に行われた「Web戦略会議 第2回セミナー」は、「企業を活性化! 企業知の戦略的活用 ~事例に学ぶイントラ・社内SNS活用術~」と題され、IT Leaders副編集長の川上潤司氏とロフトワーク代表取締役社長の諏訪光洋によって、社内情報共有の現状と課題、そのために行わなければならないことなどが解説されました。また、第三部では、積水化学工業の事例が紹介され、今後の社内情報共有についてのさまざまなディスカッションが行われています。
インプレス 川上潤司氏
第一部には株式会社インプレスビジネスメディア IT Leaders 副編集長の川上 潤司氏が登壇。川上氏は、「情報システム部門やCIOが対象であるため、Web戦略の立場とは少し異なるかもしれない」と前置きした後、情報システム部門を取り巻く環境の中での情報共有のあり方について解説しました。
まず最初に、3月の震災に触れた川上氏は、安否確認やシステム復旧、SCM維持、決算時期の処理や社員の自宅作業への対応などに十分な対処ができていなかったことが取材からわかりましたと紹介。特に、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)がうまくいかなかった企業が多く、災害時に必要な「生命の安全」「企業の社会的責任」「事業の復旧」の3つのうち、狭い意味での「事業の復旧」ばかりに目が行きがちだったといいます。システム部門にとっても社会的責任を十分に果たせたか、という反省がある中で、これを機会に企業経営とITの関係を整理していこうという声が高まっていることも、震災後の取材でよく見られることを、川上氏は明かしました。
続いて、川上氏は情報共有の歴史を振り返った上で、情報共有の目的には、「個人の能力の限界を超える」「作業の生産性を向上させる」「組織の壁を取り払う」の3つがあるとしました。そしてこれら目的のの実現/加速に向けて、さまざまなITツールが世に登場してきます。しかし、社内の心理的な壁が実現の阻害要因であるといいます。
ここで川上氏は、情報共有におけるユーザー属性を情報の閲覧と活用にとどまるオーディエンス、レビューやコメントを付与するサポーター、独創的な情報を積極的に発信するプレーヤーの3層に分け、「人数としては少ない上位のプレイヤーとサポーターをいかに底辺に拡大していくかが鍵となる」と説明します。
これを加速させるためには、構造化とルールでシステム化していく手法ではなく、ソーシャルメディア型の非構造化や自由な振る舞いを許容するようなシステムが望ましく、今の時代観に合うとしています。
「すべてをソーシャル型にすることは難しいかもしれないが、これまでの情報共有の仕組に加えて、時代観に合った仕組を取り入れてハイブリット型へと進化させることが必要」と話す川上氏は、キーマンとなるインフルエンサーをうまく育てることが情報共有の文化を根付かせるために必要であり、5年後や10年後は前述のようなデジタルネイティブやソーシャルネイティブの若い力が社内の主流となると説きます。
最後に、川上氏は「玩物喪志たるなかれ」という言葉を使い、社内情報共有などの取り組みを始めても、ゴールを見失って道具や方法論に凝り始めてしまい、成果を出せない企業が多いことを例にあげ、「常に、何をしようとしていたのかを振り返って考えることが重要」と話して、第一部の講演を終了しました。
(セッション資料については、こちらをご確認ください。株式会社ロフトワークのサイトに移行します)
ロフトワーク 諏訪光洋氏
続いて第二部に登壇した株式会社ロフトワーク 代表取締役社長 諏訪 光洋氏は、ロフトワークがプロジェクトマネージメントに強みを持っていることを前置きし、プロジェクトマネージメントで重要なコミュニケーション力を強化するために、さまざまなソーシャルメディアやWebツールを使っていると切り出しました。
その1つとして、企業向けTwitterとも呼ばれる「Yammer」を紹介。社内アンケートで「導入してよかった」という意見が89%にもなる、「Yammerは「話題の対応範囲が広くて柔軟」「業務時間内は連絡ツールとして、業務時間外はチャットツールとして使えて、違和感なく受け入れられる」「リアルでは把握しにくい他の社員の意外な一面が見られる」といった理由で社員に浸透していったと説明します。また、楽天株式会社のような大規模な会社でもYammerは導入されており、多くの企業が興味を持って勉強会に参加していることも示しました。
「愛情という言葉の反意語は、憎悪ではない。無関心である」というマザーテレサの言葉を引用した諏訪氏は、「組織が大きくなれば、利害関係のない他の部門や人にはどうしても無関心となってしまう。これでは、企業内にシナジーは生まれない」と説明します。
メンバーが増えるとコミュニケーションは乗数的に複雑になる。何百人、何千人という企業では、チャネルが多すぎてコミュニケーションが行えておらず、いつも同じメンバーとのみコミュニケーションを行っている」と諏訪は話します。ここで、Yammerのような「ゆる繋がり」が行えるようなツールを使うことで、「ありがとう!」「納品した!」「受注した!」などを気軽に言ことができ、他のスタッフや部門への関心を得ることができるのです。
さらに、企業内の情報共有を活性化させるためには、CMSやWikiなどさまざまな仕掛けが必要であると、諏訪は説明を続けます。

「ツールを選定すれば成功するというものではなく、社内ポータルサイトとYammerなどのように組み合わせを考えたり、Wikiの小人のような品質を向上させるための編集を行うスタッフをアサインするなど、本当にみんなに必要な情報は何か、何を最終的に実現したいのかを踏まえて、ツールと自主的な情報発信の両面をデザインすることが重要です。」
最後に諏訪は、「幅広いソリューションを持つシステムベンダーであるアシストと、イントラから大規模サイトまでの実績を持つ開発ベンダーのロフトワークのパートナーシップをぜひ活用していただきたい。イントラ導入を含めたWeb戦略から実装まで、気軽にご相談いただきたい」と話し、第二部をまとめています。
(セッション資料については、こちらをご確認ください。株式会社ロフトワークのサイトに移行します)
積水化学 竹内守氏
第三部のパネルディスカッションでは、「社内情報共有にはさまざまな課題があるが、それらは今始まった課題ではなく、90年代中頃にもあり、課題は変わっていない。イントラネットは幅広いので、皆さんの質問や意見をいただきながらパネルディスカッションを進め、課題を1つでも解決できればいいと思う」とモデレーターの中田氏が切り出しました。
続いて、積水化学工業株式会社 コーポレートコミュニケーション部 情報システムグループ 担当課長 竹内 守氏より積水化学工業のイントラネットへの取り組みの事例が発表されました。
積水化学工業では、96年頃からクライアント/サーバー型のグループウェアが導入され、メール、会議室予約、掲示板などが提供され始めました。その後、2001年頃からWebシステム型に移行。しかし、ID課金制となっていたため、利用者が増加せず、2002年からはオープンソースを使った自社開発でグループウェアを刷新していったといいます。
「グループ全体で約2万人の社員がおり、パッケージ製のグループウェアではCALや保守契約などでコストが大きくなる。そのため、自社開発に踏み切りました」と竹内氏は説明します。
2006年からは、イントラネットを社内最強のコミュニケーション手段と位置づけ、メールやグループウェアとともに総合的に利用することや、効率的なコンテンツの内製を推進することを決定しました。そのため、社内向けのイントラネットと社外向けのコーポレートサイトを含めて戦略的に活用するように、CMSツールであるNORENを導入しています。
NORENの導入により、外注費などの散在コストを削減し、よりスピーディな情報発信を行うことに成功。Webサイトとグループウェアの使い分けについて竹内氏は、「Webサイトは情報を整理して伝えるもので事前に決めることも多く、誰もが何でもコンテンツを載せるというわけにはいかない。一方、グループウェアは、すぐに作成でき、日々新しくなる情報を蓄積するもの。」と話します。
情報共有を行うためには、まず誰かが情報を公開するという点が困難です。「知識を公開し、整理・検索して利用する文化は重要だが、見栄えにはあまりこだわらず利用状況を把握して導入評価をし、PDCAで改善していくことが重要だと考えています。」と竹内氏は、情報共有の考え方について明かしてくれました。
最後に竹内氏は、先の震災への対応についても話しています。震災後、竹内氏の所属する情報システムグループでは、その日のうちにグループウェアに会議室を設置し、情報収集に努めたといいます。また、後日、要請を請けてイントラネットのWebサイトに対策本部の発表用ページを設置。これらの震災対応がうまくいき、多くのユーザーに使ってもらえたことから竹内氏は、これまで使っていなかった人にもわかってもらえたと思う。今後の利用者の増加に期待したい」と話しています。
竹内氏の発表後は、登壇者3名に来場者が質問する形でディスカッションが行われました。「情報共有の成果が直接利益に還元できるものではない」といった意見から「情報共有の価値を変えなければならない」といった提案も行われ、情報共有ツールの費用対効果などについて熱い議論が展開し、「定量的な情報と定性的な情報の扱い方」といった話題も交わされていき、多くの来場者が情報共有についての考え方を学ぶ貴重な機会となりました。
(セッション資料については、こちらをご確認ください。株式会社ロフトワークのサイトに移行します)
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