株式会社日本能率協会マネジメントセンター
属性に応じたコンテンツ配信で顧客との関係性を強化
~NOREN×Salesforce Pardotでデジタルマーケティングを推進~
株式会社日本能率協会マネジメントセンター 岩本健司氏、田口秀孝氏、尾田尚美氏(写真左より)
導入製品:NOREN Content Server、Salesforce Pardot
人材育成支援事業、手帳事業、出版事業を柱としてB2BおよびB2Cのビジネスを展開する日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM)は、「未知の見込み顧客」「既知の見込み顧客」「顧客」の3つのステージで顧客を理解し、興味・関心を促し、関係性を深めていくデジタルマーケティングを推進しています。
その基盤を担っているのがCMS*「NOREN」とMA*「Salesforce Pardot(以下、Pardot)」であり、コーポレートサイトを一方通行のメディアではなく、顧客との双方向の対話を実現する営業ツールに進化させています。
*CMS:Content Management System
*MA:Marketing Automation
課題・目的
・名刺情報とWebサイトの問合せフォームから入力された顧客情報を手作業で紐づけ、営業に展開していたため、リード件数の増加に伴い作業に忙殺され、活用できない大量のデータが蓄積されるようになっていた。
・営業担当者にこまめに名刺情報の登録してもらう動機づけが難しかった。
・手帳を毎年購入されるリピート客も多いのに、Webサイト来訪者には一律の情報提供しかできていなかった。
■順調なマーケティングオートメーション その背後にあった手作業の苦労
社団法人日本能率協会から分社する形で1991年に創業したJMAMは、通信教育や集合研修、eラーニングなどの「人材育成支援事業」、毎年700万冊を発行する「手帳事業」、ビジネス書籍や資格公式テキストを中心に年間新刊90タイトル80万冊を発行する「出版事業」を柱とする事業を展開しています。
収益の中心は法人を一次顧客とするB2Bのビジネスですが、独自の公式通販サイトを通じたB2Cのビジネスも手がけています。その双方のビジネスにおいてJMAMが注力しているのが、「未知の見込み顧客」から「既知の見込み顧客」、さらに「顧客」に至る3つのステージで顧客を理解してナーチャリング(育成)を促す、いわゆるMAです。
JMAMがMAツールの導入に踏み切ったのは2013年のこと。同社 ICT推進部 ソーシャルCRM推進室の田口秀孝氏は、「コーポレートサイトからの案件創出を増やしてほしいという営業部門の要望を受け、お客様の問い合わせフォームを量産化する仕組みとして導入したのが最初です」と振り返ります。
実際、この導入効果は即座に表れました。2012年には530件だったコーポレートサイトからの営業問い合わせ件数は、2013年に1,055件、2014年に1,590件、2015年に1,739件へと3年間で3.3倍に急拡大。社内からも高く評価されたといいます。
しかし、当のソーシャルCRM推進室はといえば、手放しで喜ぶことはできない大きな課題を抱えていました。営業担当者は日々の活動を通じて顧客と名刺を交換していますが、問い合わせフォームから入力された顧客の情報と紐づけることができなかったのです。問い合わせ情報はすべて手動で営業に展開しなければならず、件数が増えれば増えるほどソーシャルCRM推進室はその作業に忙殺されるという事態に陥っていました。この結果、「活用できない大量の顧客データが蓄積されていました」と田口氏は明かします。
■問い合わせフォームの情報と営業の名刺情報を自動同期
田口秀孝氏
MAを標榜しながらもその実態はオートメーションと程遠い。この状況を打開すべくJMAMは2015年にコーポレートサイトの全面リニューアルに乗り出しました。
JMAMではコーポレートサイトや通販サイトに対してコンテンツを一元的に作成・管理・配信する基盤としてNORENを利用しており、管理するコンテンツをサービス視点に基づいてテーマや課題別に再編。さらに2016年、MAの新しいエンジンとしてセールスフォースのPardotを導入。これにより問い合わせフォームから入手した顧客情報と営業担当者が保有する名刺情報を、メールアドレスをキーとして自動的に同期させることが可能になりました。
「新規のお客様情報を除き、現在では問い合わせ案件の約80%が営業部門へ自動的に通知されています」と田口氏は話します。ちなみにこの通知は、営業担当者本人だけでなく上長や営業事務担当者に対しても同時に行われます。
もっとも、この仕組みを上手く働かせるためには、営業担当者に名刺情報をこまめに登録してもらう必要があります。JMAMは以前よりスキャナーを採用し、その手間の軽減に努めてきましたが、それでも2009年の時点でメールアドレスを含む顧客情報の登録率は30%に過ぎませんでした。この登録率を2016年に95%まで高めたことが、問い合わせ情報と名刺情報の自動同期および営業部門への自動通知を成功させた最大の要因となっています。
■営業がベストなタイミングで顧客にアプローチできるように
ところで、ただでさえ忙しい営業担当者が、なぜ顧客と交換した名刺をこまめにスキャンするようになったのでしょうか。「メールアドレスをキーにしてCookieを付与することで、各ページの閲覧履歴からお客様の興味や関心を把握できるようになったことが、最大の動機づけとなっています」と田口氏は説明します。
これがまさにPardotの導入によってもたらされたメリットです。ページ閲覧やメルマガのクリック、問い合わせフォームの通過など、顧客の行動を1つひとつ点数化してスコアリングを行います。こうして可視化された顧客の関心度合いの変化を追いかけながら、営業担当者はベストなコンタンクトのタイミングを見極めることができるのです。必然的に各案件の成約率も高まっていきます。
「そもそも弊社のサービスに興味や関心のないお客様は、わざわざサイトを閲覧することはありません。また、お問合せをいただいたとしても、お客様は最初からすべての要望を明らかにしているわけではありません。だからこそ、お客様の興味・関心をより深く理解した上で営業訪問することが重要なのです。そのための基礎データを提供することが可能となりました」と田口氏は語ります。
Pardotの導入によって実現したMAにより、JMAMの商談スタイルは大きく変化しました。
■顧客の関心に応じたコンテンツ配信で対前年比126%の売り上げアップ
さらにJMAMのコンテンツ・マーケティングは、2017年に入って新たな転機を迎えました。アシストがセールスフォースとコンサルティング・パートナー契約を締結し、Pardotの取り扱いを開始。NORENとPardotを組み合わせたマーケティング活動を、より強力に支援していくという方針を打ち出したのです。
これを「願ってもないチャンス」と捉えたJMAMは、顧客の興味・関心情報をコーポレートサイトの運営にも活かすべく、NORENとPardotのさらなる連携利用に乗り出しました。そこで策定したのが、営業活動で実施している顧客に合わせた提案をサイトでも実現するという戦略です。具体的には、サイトに訪問してきた顧客の属性情報や名刺情報、興味・関心に合わせて、NORENで管理している最適な商品・サービスのバナーコンテンツを動的に組み合わせて表示するというものです(下図)。
「これによりサイト訪問者の離脱を防ぐとともに、サイトを主体とした1to1による商品提案が可能となります」と田口氏は狙いを示します。例えばサイト訪問者が入力したメールアドレスと名刺情報を紐づけて、その人物が新規顧客A社の「部長」であることがわかった場合、経営幹部になるための育成プログラムを提案するといった具合です。
この新しいコンテンツの出し分けの仕組みをまず適用したのが、手帳および関連アイテムを販売しているB2Cの通販サイトです。同社 ICT推進部ソーシャルCRM推進室の尾田尚美氏は、「通販購入者のレコメンドページにおいて、過去の購入履歴および興味・関心のスコアリングに基づいて22個のバナーを何通りにも組み合わせて出し分ける仕組みを構築しました」と話します。さらに顧客の興味・関心の変化に合わせたメールを複数回にわけて自動送信する通販メールのシナリオ化やHTML化などの施策を組み合わせて展開しました。この結果として、「対前年比で売上を126%にアップすることができました」と尾田氏は話します。
一方、B2Bの分野でも地域開催のセミナーを対象に、顧客の興味・関心にあわせた集客メールのシナリオ化を実施。こちらについても「これまで集客が困難だった地方のセミナーを満員にすることができました」と田口氏は成果を示します。
■積み上げたコンテンツに広告を掛け合わせ成長スピードを加速
尾田尚美氏
もちろんJMAMのチャレンジはこれにとどまりません。今後に向けて、B2B分野ではMAとABM(アカウントベースドマーケティング)の連携を進めていく計画です。「個人の興味・関心を把握しながら関心度を増大させていくMA、営業からのバイネームで担当者へたどり着くABM。この2つの手法から導き出される担当者を名寄せし、営業部門と共有する仕組みを実現したいと考えています」と田口氏は話します。
また、B2BとB2Cにかかわらず、各サイトからのコンテンツ発信のさらなるパーソナライズ化を推進していきます。「これによりコーポレートサイトも商品カタログなどの情報を一方的に伝えるだけのメディアではなく、お客様とJMAMの双方向の対話を促す営業ツールに変えていきたいと考えています」と尾田氏は構想を示しています。
そして当然のことながら、これらの計画を推進していく上でベースとなるコンテンツの拡充が欠かせません。広告は集中的に集客できるが契約期間が終わると消えてしまうフロー型資産です。これに対して自社サイトコンテンツは集客までに時間と労力はかかるが、積み上がっていくことで強みを増していくストック型資産となります。
「コンテンツに魅力と話題性があれば、広告費をかけなくてもお客様の興味・関心を引き、相当な集客を行うことができます。積み上げたコンテンツに広告を掛け合わせることで、成長スピードを加速させるのが理想です」と田口氏は話します。
「ブランドページを構築してSNSでも拡散してほしい」(手帳部門)、「顧客情報をより活用したWebマーケティングを実施したい」(教育部門)など、同じ視座を持った機運は全社規模で高まっており、NORENとPardotを基盤としたJMAMのコンテンツ・マーケティングの取り組みは、絶え間ない前進を続けています。
導入のポイント
・Salesforce Pardotを導入し、問合せフォームから入手した顧客情報と名刺情報を自動的に同期させ約80%のリードが営業部門へ自動的に通知される仕組みができた。
・各ページの閲覧履歴から担当顧客の興味や関心を把握できるようになったことで、営業担当者が名刺情報を登録する動機づけになり、Pardotを使った営業部門へのホットリード自動通知の仕組みを上手く働かせることに繋がった。
・サイトに来訪者の属性情報や興味・関心に合わせて、NORENで管理している最適な商品・サービスのバナーコンテンツを動的に組み合わせて表示することができるようになった。これにより離脱を防ぐとともに、サイトを主体としたパーソナライズされた商品提案が可能となった。
・現場部門のデジタルマーケティングへの関心の高まりと共に、全社的に機運が盛りあがっている。
※掲載内容は、取材当時(2017年11月)のものです。現時点の情報と異なる場合があります。
会社名 | 株式会社日本能率協会マネジメントセンター |
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URL | http://www.jmam.co.jp/ |
本社 | 東京都中央区日本橋2-7-1 東京日本橋タワー |
設立 | 1991年8月8日(創業 1991年10月1日) |
事業内容 | 人材育成支援事業(通信教育事業、eラーニング事業、研修事業、アセスメント事業)、 手帳事業(手帳、システム手帳、カレンダー、家計簿などの開発制作および販売)、 出版事業(ビジネス書の発行、資格関連図書・資料の出版) |
従業員数 | 連結504名 単体382名 ※2017年6月末現在 |
■編集後記
JMAM様では、Webサービス運営担当のソーシャルCRM推進室(田口氏、尾田氏が所属)と、システムインフラの運用・管理を担当する情報システム室(岩本氏が所属)が同じICT推進部内にあり、オフィスでも近くの席で業務を遂行されているそうです。
今回取材をさせていただき、両部隊の仲の良さをより強く感じました。良い雰囲気でコミュニケーションを取られているからこそ、スピーディーにマーケティング施策を実行できているのではないでしょうか。流行のマーケティング手法に飛びつくのではなく、事業方針、顧客分析、営業体制、Webサイトの役割を考慮された上で自社に必要なマーケティング施策のPDCAサイクルを回されているJMAM様のWebサイト運用基盤にNORENをお使いいただいていることを嬉しく思いました。
FREENORENの機能を無料体験できます
多岐にわたるジャンルで御導入いただいているCMS、NOREN。
導入事例を交え、NOREN環境、機能性を体験学習できます。
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