2014/05/28

Customer Experience×コンテンツ vol.1

~H.I.S.に学ぶ、企業が考えるべき顧客視点のWeb戦略とは?~
(ロフトワーク共催)

ロフトワーク共催セミナー開催報告

本稿は、2014年5月28日に開催されたシリーズセミナー企画「Customer Experience×コンテンツ vol.1」の講演録です。第一回目はゲストに株式会社エイチ・アイ・エス(本社:東京都新宿区)の大石様を迎えて開催しました。

「欲しい情報が、スムーズに手に入る」

これは、ユーザがWebに求めるもっとも重要な体験とも言えます。Webサイトに訪れるユーザの行動、ニーズ、心理などを企業側から寄り添い正しく理解できれば、顧客体験向上に繋がる最適なコンテンツを提供することが可能です。
顧客満足度を高めるためのWebコンテンツの役割は何か?これからのコミュニケーション設計のあり方に多くのヒントが見えてきました。

「Experience Designの今」
株式会社ロフトワーク 代表取締役社長 諏訪 光洋氏

株式会社ロフトワークの諏訪光洋氏は、Customer Experience(以下、CX)を変革するための基本的な考え方と手法を紹介しました。はじめに、あるデザイナが制作した日本の観光ムービーや、トリップアドバイザーの提供する「Best Experience for Tourists」で、東京がNo.1になった事例を紹介。ムービーの作り方も閲覧者が追体験できる作り方になっており、ネットワーク環境やモバイル端末の普及で、いつでも・どこでも閲覧できることが日常的になってきている。BtoBとモバイルも繋がり始めている。という国内外の動向をお話しされました。

ロフトワーク共催セミナー開催報告

User Experienceとは? Customer Experienceとは?

User Experience(以下、UX)は、1988年頃に作られた言葉である。ドナルド・ノーマン氏は、当時の(機能の数だけボタンが付いている様な)ビジネス電話を例に挙げ、これをどう使い易くするか?を考えた。それがUXの始まりである。彼は、後にアップル社に入社しており、この考え方が今のiPhoneなどのヒューマン・インターフェース・ガイドラインの元となっている。UXは、その後も、障害者向けに特化したアクセシビリティなどに進化している。また、Customer Experience(以下、CX)は、2005年頃に出てきた言葉である。
諏訪氏は、「CXは主に購買プロセスにおいて最適な体験を届けようとする考え方。ビジネスにつなげることにフォーカスし、どうすれば顧客になってもらえるかを考えながら、タッチポイントを最適化していくことが重要」と説明。

CXMをシステム化するには?

では、Customer Experience Management(以下、CXM)をシステム化するには、どうしたらよいのでしょうか。
CXMは、ECからスタートし、リコメンデーション、アドテクノロジーから発展し進化してきています。映画『Minority Report』の公開から遅れること十数年経った最近では、iBeaconのようにスマートフォンに適切な商品をプッシュしてくれるなど、あの世界観が現実となりつつあります。O2OやBtoBビジネスにもCXの考え方が適用できるのではないかと注目されてきています。

さらに「ECや広告、CRMだけでは顧客にメッセージを届けることはできない。企業が持つ顧客との接点を有効に使い正しいタイミングで情報を発信することが大切」と諏訪氏は語り、CXをマネジメントしていくために不可欠なのがコンテンツだと強調します。Webコンテンツ特有の問題、具体的には「不定形」「企業視点 / 販売視点で作らざるを得ない」「膨大で管理が難しい」「感情測定が難しい」「すぐに情報が古くなる」など、多くの企業がテクノロジーは進んでいるのにコンテンツをうまく届けられない状況にあります。

また、企業と顧客との接点は1つではありません。たとえば映画チケットの購入シーンであれば顧客にとって「チケット購入」「待ち合わせ」「予約確認 / 入場」「映画本編の鑑賞」「鑑賞後の食事」までが“映画を観ること”であり、これらすべての体験を捉えて全体最適を図る必要があります。

次に、CXの全体最適化はどう進めればよいのでしょうか。
諏訪氏は、「大きな戦略を作るより、小さな意思決定の積み重ねでCXを捉えていくとよい」と語り、そのためのツールとしてカスタマージャーニーマップ(以下、CJM)が有効と説明しました。CJMは、顧客があるサービスを利用する際の一連の流れを、行動、思考、感情の“旅の道程”に見立てて、記録・整理するための手法です。

パソナキャリア新卒サイト制作で作成したカスタマージャーニーマップ

CJMを作る流れ
顧客の行動を調査→集めた情報をマッピング→行動を俯瞰し体験を分析→改善案を検討

つまり、CJMにより現状のタッチポイントを見える化し、顧客を理解した上で、小さなサイクルで仮説→検証を繰り返しながらそれぞれの顧客体験をブラッシュアップしていくことになります。

「成功事例をジャーニーマップで解説!コンテンツ最適化のポイント」
株式会社のれん 営業推進部 NORENエバンジェリスト 八木 康介

株式会社のれんの八木 康介は、PC以外のスマートフォンやタブレットの登場を機にデバイスの多様化が進み、情報が欲しい!と思ったタイミングや状況に直結してコンテンツにアクセスできるようになったと指摘しました。「FacebookやLINEなどのアプリケーションからコンテンツに辿り着いてくるケースも増えてきている。それでもなお、企業本位の画一的なコンテンツを提供していてはユーザの満足度は上がらない。質の高い的確なコンテンツを提供するには、コンテクスト(背景や状況)の中でコンテンツを考えていかなければならない」と語りました。

ロフトワーク共催セミナー開催報告

重要なのは、ユーザの思考と直結しているコンテンツであること

Facebookだったら「いいね」ボタンがあったり、シェアできるようにしたり、LINEについても同様に、他のユーザに展開できるような機能を付けておくなどのアクションを考慮する必要があります。
①デバイス ②思考 ③情報源 を管理者が考えなければいけないが、それを頭の中だけで整理していくのは難しい。
そこで有効なのが、分析するための手法であるCJMです。ユーザの行動を全体的に把握することができる上、図で表すことによりユーザの思考・ニーズも視覚的に確認することができます。自社サイトについて不足しているところが明確になり、施策・立案が考え易くなります。

続いてこの手法を使ってWebサイト改善に成功した事例を紹介しました。

中部国際空港セントレア
情報を掲載することが優先されたコンテンツ作りを見直し、最高のおもてなしを提供できるサイトを目指した。空港でお客様にインタビューし、ユーザ行動を分析。改善ポイントを明確化してリニューアルに反映。

日本アムウェイ
旧Amwaylive(会員向けショッピングサイト)は、誰がサイトに訪れても全員同じページが表示されていた。お客様のセグメントやレベルに合わせて、最適化された情報を配信(表示)できるようになった。

H.I.S.
手作業で更新していたため、問い合わせをしないと空き情報がわからなかったが、改善後は空席管理システムとの連携により空き情報を表示。

いずれもコンテンツプラットフォームNORENを活用した事例であり、その理由を八木は「顧客満足度が高くても、運営側の満足度が低いとうまくいかない。Webサイトに関わる全ての人に対して質の高いユーザエクスペリエンス(UX)を提供できない限り、継続的な運営は難しくなる。UX実現のための基盤として NORENのようなコンテンツプラットフォームを使えば、スピーディーな更新に加え、デバイスに応じたコンテンツの出し分けも簡単」と説明。 以上を総括し、「ユーザにエクスペリエンスを提供すること」とは次の3つを実践することだと語りました。

1.CJMやメンタルモデルで顧客体験を分析する
2.Webサイト基盤としてのCMSを使って顧客に提供する
3.アクセスログ解析ツールやCMSを使って分析し、運用する

中部国際空港セントレアのサイトリニューアルを想定して作成したCJM

「オムニチャネル時代のH.I.S. Web戦略」
株式会社エイチ・アイ・エス
本社情報システム本部 US推進グループ コンテンツ・マーケティングチーム 大石 学氏

最後のセッションでは、ゲストに迎えた株式会社エイチ・アイ・エスの大石学氏が、コンテクストを理解した上でコンテンツを出し分けることによってWebの課題をどうやって解決したのか、そのアプローチの詳細を紹介しました。

ロフトワーク共催セミナー開催報告

マスメディアに頼らず、常にお客様とつながり続けられる仕組みづくりを推進
Web戦略上の課題

安さを強調するマス広告を中心に展開してきたが、激しい価格競争の末、価格での差別化が難しくなってきた。

解決方法

そこで、常にお客様とつながり続けられる仕組みを作ることで、「マス広告に頼らないプロモーション」と「商品の機能的価値だけでなく、情緒的価値を伝えること」を実践。

「少ないコストでお客様とつながり続ける仕組みを作るためには、SNSを利用しお客様にファンになってもらうのが有効だと考えた」と大石氏。そこで、顧客の旅行商品購入までの流れを分析。旅行を計画していない人たちにも、ふとした瞬間にH.I.S.を思い浮かべてもらうことを目指し、13種類ものソーシャルメディアを運用するとともに、顧客のステージに応じた施策を展開。

旅行情報を必要としていない普段ステージの人向け

絶景で興味を喚起したり、他社とコラボして旅行ではない切り口でアプローチ
 具体例:FacebookやH.I.S.スマホアプリの活用、他社コラボキャンペーン

興味段階の人向け

観光情報のコンテンツで商品への導線を用意
 具体例:海外支店ブログ、海外支店Facebook、旅行情報ページ、Twitter

行動段階の人向け

H.I.S.の商品を見てもらうためのプッシュ型営業
 具体例:Web広告、マス広告、LINE、LINE@、メルマガ、店舗、H.I.S.ホームページ

つまり「各メディアを使い分けオムニチャネルを推進することで、どの段階でもH.I.S.に関わってもらえる仕組みづくりをしている」と大石氏は説明しました。しかし、これだけの運用を継続するとなると更新量も膨大です。そこで導入したのがコン テンツプラットフォームのNORENです。「HTMLの知識がなくても簡単に更新でき、商品を一括で差し替えることが可能。 長時間かかっていた作業が大幅に短縮され、人件費の削減にもつながっている」と大石氏。前セッションで八木が語った「運営側の満足度」とはまさにこのことであり、“常にお客様とつながり続ける仕組み”を支える重要な基盤として NORENが大きな役割を担っているようです。

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