2014/07/15
Customer Experience×コンテンツ vol.2
~編集長に学ぶ、読まれるWebライティング~
(ロフトワーク共催)
2014年7月15日に開催されたシリーズセミナー企画「Customer Experience×コンテンツ Vol.2」の講演録です。
「読まれる文章を書きたい」「目を惹くタイトルにしたい」
貴社のWebサイトやSNSサイトのコンテンツを担当されている方は、皆さん悩まれたことがあると思います。
センスが無くてもテクニックさえ知っていれば、誰にでも顧客の心を惹きつける文章を書ける!というのは、目からウロコでした。(お客様アンケートより)
第二回目はゲストに株式会社KADOKAWA(本社:東京都千代田区)から『アス キークラウド』『WebPofessional』の編集長 中野氏をお迎えし、3時間のワークショップを通して「明日から使える実践的なWebライティング」をテーマに実践的なWebライティングを学びました。
「Experience Designとコンテンツの力」
株式会社ロフトワーク 代表取締役社長 諏訪 光洋氏
先ずはじめのセッションでは、株式会社ロフトワークの諏訪 光洋氏より「コンテンツを取り巻く現状」を解説いただきました。
ビルゲイツは1996年に“Contents is King”と発言していた
今コンテンツが重要になっているのは、以下の3つの要因が挙げられると諏訪氏は、説明。
・小さく始められる
・溜まる。Googleが認める
・知見が育ち、ユーザを知ることができる
コンテンツマーケティング
生まれたコンテンツは、オウンドメディアからソーシャルメディアに載って人から人へシェアされることで広まっていきます。
顧客に役立つ情報を発信する企業は好まれ、リピーターが増えていきます。
LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)が作ったデジタルマガジン『NOWNESS』を例に挙げ、同サイトに人々が吸い寄せられるのは、ルイ・ヴィトンのブランド力ではなく、コンテンツの魅力そのものだと解説。
NOWNESSには、LVMHの文字は一切出てこないという。
コンテンツ化するには?
コンテンツをイチから作り上げるのは容易ではありません。
では、どこからスタートすればよいのか?諏訪氏は、自社の例を引き合いに3つのアプローチを紹介しました。
●イベントを通じてコンテンツ化
先日開催されたMIT Media Lab@TOKYO 2014の中で、オリンパスが発表した新製品の開発内容(Open Platform Community)がGIZMODOのコンテンツになったように、リアルなイベントをコンテンツにした例。
●コラボレーションを通じてコンテンツ化
眠りについてみんなで考えるサイト オムロンの「ねむりラボ」。
製品開発段階でどこからか情報を聞きつけて、競合他社に先に製品化されてしまうケースがある。というオムロンからの相談を受けたロフトワークは、プロセスをオープンにすることを提案。
オープン化したことで、コンテンツが生まれ、併設したユーザコミュニティからはユーザのニーズが把握できた。さらに、他業種との新たな企業間コラボレーションが実現するなど、数々のメリットがあったそうです。
●プロジェクトそのものをコンテンツ化
石垣島のさまざまな名産品をひとつのブランドにするべく、ロフトワークとのプロジェクトがスタート。プロジェクト自体をすべてオープンにし、ロフトワーク が石垣島を訪れるところからコンテンツ化。(USIO Design Project)
「企業の中にある体験や経験をコンテンツにすることで、ユーザのエンゲージメ ントにつながり、学びにもなる。ポイントは、コンテンツを作り続けること。コストをかけても長続きしなかったら意味がない」と諏訪氏。社内でもコンテンツを作り続けることが大事だからこそ、Webライティングが重要になることを強調しました。
「コンテンツの力を引き出す3つのポイントト」
株式会社のれん 営業推進部 NORENエバンジェリスト 八木 康介
次に、株式会社のれんの八木 康介は、リアルの世界でコミュニケーション能力が求められるのと同様に、Webでも、デバイス、場面、気持ち、状況など、多種多様なコンテキストに合わせてコンテンツを提供することが大事だと強調し、ポイントを3つ挙げて、各社の事例を交えながら説明しました。
Point1.顧客体験を分析する
質の高い的確なコンテンツを顧客に提供する上で、顧客がどういう状況や気持ちでサイトに訪れているのかを分析 / 把握することが重要になります。
個人が所有するデバイスの多様化により、コンテキストも複雑になってきているため、頭の中だけ想像することが難しくなってきています。
そこで、分析手法として有効な、カスタマージャーニーマップ(以下CJM)とメンタルモデルを紹介しました。
●CJM(カスタマージャーニーマップ)
プロセスを複数フェーズに分解し、顧客の行動、思考、感情の起伏、タッチポイントを整理。
これにより、
①視野が広がる
②複雑なデータが直感的に把握できる
③施策立案が考えやすくなる
●メンタルモデル
ユーザニーズを洗い出して同類のニーズをまとめていき、各ニーズに対して自社のサービスで対応できているところ、できていないところを明らかにする。
これにより、
①ユーザのニーズを把握する
②提供しているサービスが可視化される
③ギャップが見つかる
これらの手法を通じて、実現できていること、改善すべきこと、今の技術レベルでは対応できないことを明らかにし、着手できることから改善すべきことが大事だと説明しました。
Point2.文章を考える、作る
Webライティングのテクニックが必要になります。内容は、中野氏のセッションへのお楽しみということで、2012年頃のNORENユーザ会でのエピソード(アシストのプレスリリースに対して中野氏よりいただいたコメント)を披露しました。
Point3.顧客へ提供する
分析結果に基づいて作ったコンテンツを、PCサイトだけでなく、スマートフォンやタブレットなどのデバイスに合わせて出し分けるためには、CMSの活用が有効となります。システム化することでコンテンツに注力する余力も生まれます。八木は、「UXの対象は訪れる人だけでなく、運用する人も含まれる。運用側の満足度を高めることが重要」として、NORENを使ったWebサイト更新が大幅な省力化につながることをアピールしました。
ワークショップ「Webライティング実践講座」
株式会社KADOKAWA
アスキークラウド編集長 / Web Professional編集長 中野 克平氏
最後は、本セミナーの目玉である、株式会社KADOKAWA 中野克平氏によるワークショッフ繧噤Bはじめに中野氏は、昨今の広告モデルの変化に触れ、「顧客セグメントごとにクリエイティブを作り分けないといけなくなってくると、今日お話しするようなコンテンツの作り方がますます必要になる」と語り、“読みたくなるコ ンテンツ”の特長に次の3つを挙げました。
“読みたくなるコンテンツ”の特長
・自分の常識と異なる
・でも、自分が体験できる/自分の知識になる
・本当のこと
「重要なのは期待値。期待値を下回る、あるいは上回らないと、感情は動かせない、つまり感動しない。感動させるためには、期待値(常識や前提条件)を覆せばいい」と中野氏。たとえば、「強い者が負けた。どうして?」「弱い者が勝った。どうやって?」といったように、Why?やHow?の感情を満たす情報を提供してあげればよいのです。
そこで、読者の期待を裏切りつつ、結末まで読ませるための書き方をワークで実践。「商品を買いたくなる説明文を書く」をお題に、架空のCMSツール「SUDARE」の説明文の作成に挑戦しました。
ワークの流れ
①起承転結の「転」を決める
②見出しをつくる
③あらすじを組み立てる
④「書き出し語」を考える
⑤文章を書く
⑥文章を整える
①起承転結の「転」を決める
今までの話は、
起:読みたくない話
承:読みたくなる話
転:読みたくなる話の作り方
結
だから、主張を「転」で述べるには、「起」に相当する部分を「転」の逆にすれ ばよい。
Point
CMSの一般的な常識と「SUDARE」の特徴を書き出し、常識とのギャップを見つける。
②見出しをつくる
①で見つけたギャップを見出しに変える。目安は30文字。
「SUDARE」の特徴を台無しにしてみる
例:その日から使えるマニュアル不要のCMS「SUDARE」
③あらすじを組み立てる
文章の要約を作る。「でも」「だから」などでつなげて、結論に導く論理が壊れ ないようにする。
Point
商品説明の定番あらすじ
課題設定→課題の解決策→買わない理由の否定→購入後のメリット
④「書き出し語」を考える
①~③までで書き出した言葉の中から、変な言葉(普段使わない言葉、製品を特徴 的に表している言葉)を探し、書き出しの言葉にする。
Point
やってはいけないこと
・普通の言葉
・最近の日付
やったらいいこと
・テーマと逆の言葉
・ずっと前、ずっと後の日付
⑤文章を書く
20文字×20行の原稿用紙に、書き出し(4行)、解決策(6行)、導入しない原因 つぶし(6行)、導入後のメリット(4行)のボリューム感で起承転結を書く。名 文である必要はなく、わかりやすい、面白い、深い文章が求められる。
Point
・言いたいことは箇条書きにする
・すでにあるあらすじに、細かいことを付け加え、つなげれば文章になる
⑥文章を整える
ムダな言葉を省き、わかりやすい具体的な言葉に置き換える。
Point
・指示代名詞は極力使わない
・主語と述語は必ず対応させ
・Webでは、機械(検索エンジン)で検索されやすいキーワードも意識する
・冗長表現をやめる
例:×することができる → ○ できる
×セミナーを行う → ○ セミナーを開催する、受講する
以上のワークを総括し、中野氏は、「文章を書くのに必要なのは、8割がテクニック。基本さえ押さえれば80点まではいける。通常の仕事ならこれで十分!」 と強調。参加者たちは慣れない作業に頭を悩ませながらも、“自分にも書ける”ことを実感していたようです。
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